きっと、霊の存在を信じていない人も多いだろう。
実体の無いものだから、証明もできないし。
今でも忘れられない出来事がある。
私がまだ、彼と同棲をしていた時だった。
私が住んでいたマンションは、1Kタイプだった。
玄関のドアを開けると、短い廊下を挟んで右側にキッチン、
左側にバスルームとトイレ。
廊下突き当たりのドアを開けると、洋室の7畳。
そんな間取りだ。
ある日の夜、
私は、音楽活動で出かけている彼を待ちながら、
ベッドの枕元に携帯を置いて、一人布団に入りテレビを観ていた。
すると、突然耳鳴りがし、
金縛りにかかった。
うわ・・・金縛りだぁ・・・。
金縛りと戦って、どれくらいの時間が経った時だろう。
玄関の方に、何か
人の気配を感じた。
あ、彼が帰ってきた.。゚+.(T∀T)゚+.゚ヨカッタ
そう思った。
・・・でも・・・
私は玄関のドアチェーンは必ず掛ける。
彼が入ってくることは不可能。最悪ヤん(TдT)
『
泥棒だ!!!』
と思った。
金縛りに掛かってから、かなりの時間が経ってたからかも知れない。
・・・今この状況で泥棒が入っても、
私は騒ぐことも隠れることもできない。
なんでこんなときに来るかねぇ・・・(;´Д`)
・・・・これは
寝たフリをするしかないな。
そんな訳で、私は目を瞑った。
すると、部屋と廊下を仕切るドアが
『ガチャッ・・・』と開いた。
うわー、来たよー、こわいよー、取るもんないよー(つД`)
ソイツは、私のベッドの足元に座った。
重みでベッドがきしんだ。
足元の方にあった私のバッグを物色している。
だから取るほどの金は入っとらんよー。・゚・(ノД`)・゚・。
私の手帳のチェックをしている音がした。
んなもんロクなこと書いてないから、読まんでくれ。
しばらくすると、ココには金が無いとやっと気づいたのか、
私の枕元に移動してきた。
枕元の
携帯を開く音がした。
警察に電話できないようにしてるんだ。
ガクガクブルブル(((;゚Д゚)))ブルブルガクガク
操作が終わったのか、ソイツは私の枕元に携帯を戻した。
次は何だ!?
ソイツは、私の腰の辺りに座った・・・。
布団の中に手が入ってきて、私の体をまさぐる。
パニックに陥った。顔のまん前に気配を感じた。
コイツキスする気だ!!!!!!!!!!
ヤバイと思ったその瞬間、私は目を開けた。
すると、目の前に顔があった。
50代の男性の顔。
Σ(||゚Д゚)ヒィィィィ
思う間もなくキスをされた。
金縛りが解けず、声が出ないので、
私は心の中で
『勝手にキスしてんじゃねぇヽ(`Д´)ノ頼むからもう出てけ!』
と叫んだ。
すると、その男性は
悲しそうな顔をして、私の顔を見つめたまま消えた。
それからすぐに金縛りが解けた。
何?今のなんだったの??
今のって泥棒じゃなかったの???
・・・幽霊。
Σ(||゚Д゚)ヒィィィィ ・・・でも、あのオヤジ・・・
どこかで見た記憶が・・・・
思い出した。
私は学生時代に、レジ店員のバイトをしていたことがあった。
オヤジはそのときのお客さん。
私がバイトの時は、毎回買い物に来て、
バイトが終わるまで自動ドアの外で、私を見ながら待っていた。
バイトが終わると、毎回家まで付いてこられたりもした。
私はこのオヤジに付きまとわれていた。
そのときに付き合っていた彼氏に迎えに来てもらい、
店長にも
『この子には付き合っている彼氏もいるし、他のお客様にも迷惑がかかるので、もううちの店には来ないで下さい』
と言ってもらった。
オヤジは
『それはこの子の希望ですか?私は彼女のことが真剣に好きなんです。』
と言った。
当時私は高校生。
まさか50代の男性に、真剣に告られるとは思わなかった。
『迷惑ですか?』と聞かれた。
正直かなり迷惑だったし、何よりも怖かったので、
『迷惑です。お客さんだから、嫌な顔できないの、分かりませんか?
もう付きまとわないで下さい。』
と言った。
その一言に、オヤジはとても
悲しそうな顔をした。
金縛りの中で
『出てけ』と叫んだ私に見せた顔は、
紛れも無くあのときの顔だった。一ヵ月後に知ったのだが、
あの男性は、お亡くなりになったそうだ。
人は、死ぬ前に大切な人に会いに行く、と聞くが、
あの男性にとって、私は大切な人だったんだろうか。
ひどいことを言ったのに、その後もずっと私を思っていたのだろうか。
私はずっと忘れてた。
最後に会いに来てくれたのに、私はまたひどいことを言って、
あの男性を跳ね除けた。
ごめんなさい。