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2007年11月28日 [00:00] 未分類 

恋に恋。

裕貴さんとのドライブの日。
昼過ぎの待ち合わせ。


裕貴さんはデートと言ったけど、
期待すればするほど、
残酷な結果が待っている。


そんなの、よくある話だ。


だから、これはデートじゃない。
ただのドライブ。




白い車で待ち合わせ場所に現れた彼は、
私に助手席へ乗るよう促した。



助手席に、私が乗ってもいいのだろうか。


私の髪の毛が落ちたりして、
彼女とのケンカの元にならないかな。

香水つけてきちゃったけど、
シートに匂いついたりしないかな。


よくあるよね、そういうドラマとか。



というか、彼女はいるのだろうか。

いや、彼女がいたら、私のことなんか誘わないはずだ。


いやいや、8歳も離れてるんだ。

裕貴さんは公務員。
素敵なおねいさんなら、たくさんいるはずだ。

私みたいな子供で頭の悪い子なんか、
彼女じゃなくて妹みたいな感覚だろう。

恋愛対象なんか、そもそもありえない。


私だって、別に裕貴さんに恋してるわけじゃない。
そう、これは恋じゃない。

こんなものを恋と呼んだらいけない。


雰囲気に呑まれるな。



・・・私、ここにいてもいいのかな?



そんなことばかり考えて、
会話に集中できなかった。




彼は、そんな私の気持ちを知ってか知らずか、


『参考までに、裏ちゃんは、どこか行ってみたいところとかある?』


と聞いてきた。




何の参考なのだろうか。



もう、気持ちがしんどくて
早く帰って寝たい。
なんだか余計なことばかり考えてしまって
緊張しすぎる。
緊張のせいで、
肩が変に凝ってしまって、
具合が悪い。


時計を見ると、もうすぐ21時だ。

車の中って、暗いから眠くなるんだよね。



ずいぶん遠くまで車を走らせた。




『海。朝の、人があんまりいない海が好き。
自分の小ささとかすごく実感できる場所だから。』




しまった、行ってみたい場所を聞かれたのに、
好きな場所を答えてしまった。




ここは『TDL』とか、女の子チックに答えるべきだっただろうか。

いや、『行ってみたい』だから、行ったことのない場所を挙げるべきだっただろうか。





1年前には、アホ丸出しでキャーキャー騒いでたガキンチョが、
突然人間のちっぽけさを語りだしてしまった。

裕貴さんはヒいただろう。


緊張からくる眠気のせいで、
私ってクソまじめなんですオーラを出してしまった。



なんてかわいくないんだ。


『宇宙』とか言わなかっただけまだいいや。


でももう駄目。











車内の薄暗さと、
轍が作り出す揺れの心地よさと、
異常なほどの肩こりのせいで、
私は眠ってしまっていた。




















バタン。




冷気と共に、ドアの閉まる音がした。


冬の匂い。


私の好きな匂い。




『あ、起こしちゃったかな?』




『ご、ごめんなさい、私、寝ちゃってました!?』



『連れまわしちゃってごめんなあ。』




そう言いながら、裕貴さんは
温かいジャワティーの缶を差し出してきた。



普段水分をあまり取らない私も、
緊張とガンガンに効いたエアコンのせいで、
今日1日だけで、この缶紅茶を3本は飲んでいる。



『ごめんな、俺、これ好きなんだよ』



裕貴さんは、このジャワティーが売っている
自販機が何処にあるのか、
その土地土地で把握しているほどのジャワティー好きらしい。


私には、そんなのどうでも良かった。




『どう?』


裕貴さんは、私に何か尋ねてきた。





どう?と聞かれても、
『ジャワティーって、まだあったんだ。』
私にはそのくらいしか思い入れがない。


『いや、朝じゃないし、やっぱりここじゃ駄目だったかな?w』








え?










気づくと、目の前には海がありました。




海といっても、私の好きな海ではない。



























漁港だ。
















う・・・・・うん・・・・・。












漁船がライトアップされてるよね・・・・。















なんだか、夜釣りしてるオッサンも遠くに見えるね。
















あんまり・・・・













ちょっと・・・・・




















笑ってしまった。














私が好きな場所に連れて
行ってくれようとしたんだね。








なんだか、そんな気持ちが嬉しかった。





宇宙って言わなくて良かった。







『窓、曇ってますね。
外、寒そうですね。』




そう言いながら、
外を眺めていると、
突然



『裏』




と、私の名前を呼ばれた。



呼び捨てられたことに驚いて彼の方を見ると



















キスをされた。









本当に突然だった。











『俺と、付き合ってくれませんか?』









なぜなのか分からない。






私にとって、裕貴さんは
恋をしてはいけない人だと思ってた。


裕貴さんにとっても、私は
恋をしちゃいけない人だと思ってたはず。



公務員。
未成年。



その2つの単語が、
私の頭の中でぐるぐると回った。





裕貴さんが、未成年と付き合うことは、
裕貴さんの仕事に差し支えることはないのだろうか?


あれだけ、『雰囲気に呑まれるな』と思ったのだ。

これは恋ではない。


恋に恋だ。


適当に付き合った男と同じように
裕貴さんとも付き合うつもりか?

駄目だ。

駄目だ。


自分にそう暗示をかけた。






私が答えに戸惑っていると、


『駄目・・・・かな?』



と、小さな声で聞いてきた。






私は、思わず大きく首を振った。





『ごめん、それじゃ分かんないよ』




駄目。



これは恋じゃない。






『私でいいんですか?』



思わぬ言葉を口にした自分にびっくりした。


そして、彼の次の言葉にもびっくりした。




『裏ちゃんじゃないと駄目だから、
1年待ったんだ。』







1年も、そんな気持ちでいてくれたのは、
本当なのだろうか。



そんなことは、私には分かるはずもない。





1年待ったのは、1年前は私が中学生だったから。

きっとそう。



1年待ってGOしたのは、私が高校生になったから。

きっとそう。





裕貴さんにとって、
私が高校生になった今、
もう年の差は関係ないんだ。





その1年の間、私は何をやっていたのだろう。

今日のデート中、私は何を考えていたのだろう。


なんだか、とても申し訳なく思えてきた。




自分にかけた暗示が解けた。


この人は、きっと私のことを
きちんと見てくれる。
ちゃんと理解してくれる。


嬉しくて涙が出た。








私達はこうして付き合い、
それから別れるまで
1年半の思い出を作っていった。


















・・・・いつかまた続く。

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2007年11月27日 [22:01] AV女優になる前のお話 

お誘い。

それから数日後、
自宅の電話が鳴った。

面倒くさそうに私が出ると、
電話の相手は


『裏さんのお宅でしょうか?』


と言った。


『裏は私ですけど。』


セールス電話かと思った。


『あ、俺・・・誰だか分かるかな?』




今の時代なら、
『オレオレ詐欺ってこんな感じなのか?』
と思っただろういや違うな。



とにかく、知っている男友達の声ではない。
イタズラ電話だと思った。


『分かりません』


ぶっきらぼうに答えた。







私の電話応対がぶっきらぼうなのは、
昔からだ。
電話に出ると、

セールスのオバサン『あ、ボク?』
裏『いえ、違いますけど。』
セールスのオバサン『あ、お嬢ちゃんかなっ?』
裏『は?何ですか?』
セールスのオバサン『ママいるかなあ~?』

高確率で必ず間違われる子供っぽい声。
しかも性別まで。

私がこの世に誕生して四半世紀が過ぎた今でも言われる。
もうおばちゃんであるにも拘らず、
『ボク』や『お嬢ちゃん』や『赤ちゃん言葉』を使われると、
非常にバカにされている気分だ。
掛けてきた相手は、私の気分を害していることすら気づかない。

私の電話嫌いも、おそらくこれが原因のひとつだ。






そんなことを思っていると、



『中園ですが・・・。』



電話の相手は、そう答えた。




思わず、顔が赤くなった。



裕貴さんから電話が掛かってくるなんて、
思いもしなかった。



ぶっきらぼうな応対に、
裕貴さんはどう思っただろう。



裕貴さんは、


『年賀状にも書いたけど、
今度どこかに遊びに行こうか。』


と、明るく笑いながら言った。




裕貴さんとのデート?

考えてもみなかった。




『でも忙しいんじゃないんですか?
なんか、逆に気を使わせちゃったみたいで・・・』



そう答えると、
彼は



『そんなの気にしない!
せっかくデートのお誘いしたのに、
届いた年賀状にその返事ないんだもんなあ。
ちゃんとお詫びしてもらうぞw』




彼の明るい声に、私も軽い気持ちでOKした。






私も裕貴さんも、

『少し年の離れたお友達。』






そんな感覚なのだと思っていた。
















・・・・続く

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2007年11月27日 [22:00] AV女優になる前のお話 

社交辞令。

思ってもいなかった再会は、
高校1年の冬に訪れた。


なんとも思わない男と付き合い、
なんとも思わない別れを繰り返し、
高校進学して初めての冬休みを迎えた私は
一人無気力だった。



毎日をただゴロゴロして過ごした。



家にいれば、父親が
私を怒鳴りつける。



ささいなことで口論になる。


ビール瓶や皿やスプレーが飛び交うのも、
当たり前だった。


気の強い親にして、この子あり。
周りはみんな、そんな目で見ていただろう。


私をきつく縛る父親。


たった一人の娘だ。
今考えれば
大切にしたいと思うからこその
束縛だった。


私の誕生を
『お姫様が生まれた』
と喜び、
私の幸せを願って
育ててくれたはずだ。







でも。



ここから逃げたい。





そんなことばかりを考えてた。











元旦。

父親は、大量に刷り上げた手作りの年賀状を
コタツの上に並べ、仕上げていた。

父は、元旦を迎えてから、
年賀状一枚一枚に
丁寧に文字を入れていく。

『年賀状は、年末に書いたり出したりするもんじゃない。』

父はいつもそう言っていた。
そういった『儀式』を、とても大切にする人だ。

『振り分けが大変だから、早めに出してね』
という郵便局の都合なんて、これっぽっちも考えていない。


年末からゴム版画の案を考え、
下書きをし、配置を決め、
少しでも失敗したり、
気に入らないと、
最初からやり直し・・・
これが、3が日まで続くこともざらにあった。


父の版画は見事なものだった。


手刷りの版画だから、一枚一枚色合いも微妙に違う。



ただ見流されるだろう年賀状に、
一枚一枚思いを込めていた。




毎年見るこの光景だけが、
唯一父親を尊敬しなおすきっかけになる。


ろくに会話もないまま、
父親の手元を眺めていた。




『はい、これ。あんた宛に届いた年賀状。』


母親が、届いた年賀状を振り分け
私に差し出した。



私は、届いた年賀状に
一枚一枚目を通した。


その中に、一枚だけ見慣れない字の年賀状。

母親が、振り分け間違えたのだろう。

瞬時にそう思い、宛名を見た。


しかし、間違いなく私宛だ。



誰だろう?






差出人の名前を見て驚いた。






『中園裕貴』







裕貴さんからだった。






『明けましておめでとう。
去年はどんな年でしたか?
高校生活には慣れましたか?
機会があれば、どこか遊びに行きたいですね!』



年末に書いたであろう1枚の年賀状。
私のことを思い出してくれたことが
なんだかとても嬉しかった。



しかし、お出かけのお誘いは、
社交辞令なのだと思った。
おそらく、書くことが他に見つからなかったのだろう。


私は、


『明けましておめでとうございます!
私も、高校入学してから忙しい生活になりました。
お互い頑張りましょうね!』


という、当たり障りのない返事を年賀状にし、
他宛の年賀状と共に、ポストへ投函した。









・・・・続く

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2007年11月26日 [01:57] 未分類 

眠いので、今日は一旦打ち止めですw

遅くまで、リアルタイムでお付き合い下さった方ありがとうございますm(__)m


この続きはまたいつか・・・



でわノシ



※この記事のコメントは受け付けませんw

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2007年11月26日 [00:00] AV女優になる前のお話 

たった3つのピアス。

想いは、次第に薄れていく。


そして、
消えていった。




進学してからは毎日が忙しく、
友達と会うことだけが楽しかった。

しかし、下宿先で体調を崩し、
数ヶ月眠れない日々を送り、
結局私は自宅から学校へ通うことになった。


茶色く染めた髪や、短いスカート、
耳に開けた、たった3つのピアスの穴を見て、
『お前は自堕落だ。娼婦みたいだ。』
と毎日のように怒る父親。



自宅に帰ること自体が面倒になった。





高校には、進学したかったわけじゃなかった。

というか、本当は、行きたい高校があった。

芸術が学べる高校だった。

私の偏差値ではとてもじゃないけど
行けない学校だった。


理数系が極端に偏差値の低い私は、
その学校を受験することができなかった。


先生に、
『他は合格レベルなんだけど、数学と理科が常に評価1・2じゃねえ・・・
あそこは名門校だから・・・。もう挽回できないしねえ。』
と言われたことで、諦めた。


自分の将来には、
なんの光もなかった。


進みたいと思った高校。


芸術に、数学や理科は必要ない。


そう思っていた私の理論は、
たった一言で壊された。



自分の好きなことできないなら、
みんなより早く働いた方がいいや。


そう思った。





母親は美容師だったから、
『働きたいなら理美容専門学校に行きなさい。』


父親は、
『高校でないと苦労する。』
『高校ぐらいは出ないと恥ずかしい。』
『高校浪人するつもりか!?』

そんなことばかりを言った。


父親が嫌いだった私は、

『○○高校に行きたかった。
でも、頭悪いから行けないんだって!
私が算数できないのは、誰のせい!?
浪人が嫌なら、下宿できるような遠くの学校なら受けるよ。
でも、推薦じゃないと高校は行かない。
行きたくもない高校を一般受験なんて、絶対に嫌だから。』


そう言って、半ば無理矢理
行きたくもない高校に進学した。



遠くの学校へ行くことは、
私の意志だった。

唯一の、父親への反発心だった。



その結果、好きだった雅人の傍にいられなくなった。



現実を受け入れる。
素直になる。
自分の意志を貫く。

このバランスを保てず、
私は自ら、駄目な方へと突っ走った。






たった数ヶ月で下宿を辞め
自宅から学校へ通う日々。



情けなかった。



自宅に寄り付かなくなったのは、
そんな自分の思いを
父親に悟られたくなかったから。


父親は、下宿先での私の体調を
誰よりも心配してくれていた。

でも、それさえも鬱陶しかった。




私は、友達から紹介を受けたり、
ナンパされた男の子と付き合ったりするようになった。


『自分がその人を好きだから』
『お互い好きだから』
そういうのは、
どうでも良くなっていた。








・・・・続く

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