上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
no-comment |
no-trackback | Edit | Page Top.↑
それから少しの時が経ち、
私たちは中学を卒業した。
卒業式から数日経ったある日。
私は一本の電話を貰った。
当時は携帯電話やPHSなんてものは
持てなかった時代だ。
自宅へのそれは、雅人からだった。
彼は言った。
『俺、裏おんなのこと、好きだったよ。
今更だけど。あの時答えられなくて・・・ごめん。』
本当に『今更』だった。
そして、これは『現在進行形の思い』なのかも微妙だ。
私は、中学を卒業したら、
下宿生活を始める。
遠くの土地へ行くのだ。
雅人は地元の高校へ進学。
離れ離れになってしまう。
友達としての思い出しか作れなかった。
照れ隠しで
『今更遅いってw・・・・手紙、書くね』
と言った。
彼も、『俺も、書くから。』
と言った。
好きだった。
本当に好きだった。
でも、それ以上は言ってはいけないような気がした。
受話器の向こう側からは、
シャ乱Qの『シングルベッド』が
かすかに聴こえていました。
友達みんなでカラオケに行った時、
雅人はその曲を歌った。
雅人のあまりの音痴ぶりに、
みんなで大笑いした。
あれは、私にとって
とても大切な思い出だった。
それから
一度だけ。
一度だけ
雅人から手紙が来た。
でも、それだけだった。
それぞれの新しい環境に慣れることに必死だったのだろうか、
照れだったのだろうか、
私たちは、
会うことも、話すこともなくなった。
・・・・続く
Comment:10 |
no-trackback | Edit | Page Top.↑
冬休みが終わると共に、
私は亜紀子ちゃんに報告した。
裕貴さんに年賀状出したら、返事が来たよ。と。
亜紀子ちゃんは、申し訳なさそうに私に尋ねた。
『裏おんなちゃんは、雅人のこと、どう思ってるの?』
私は答えた。
『雅人のことは大好きだよ。裕貴さんとは関係ない。』
すると、亜紀子ちゃんは、
私に何か言いかけた。
でも、続けることはなかった。
『亜紀子ちゃん。私、裕貴さんのことは素敵な人だなあと
思うけど、好きとかそういう感情ではないんだ。
しかも中学生と大人だもんね。
裕貴さんが私に興味持つわけもないしw
裕貴さんのこと、何にも知らないしさ。
でも、雅人は別。
亜紀子ちゃんと雅人は付き合ってるみたいだけど、
私、亜紀子ちゃんのこと別に嫌いじゃないし、
雅人のことも好き。
亜紀子ちゃんは、私にとって同じ場所に立てないライバルってとこでw
これは仕方ないことだからさ。』
私は、亜希子ちゃんにそう言った。
それから少ししたある日。
亜紀子ちゃんは私を遊びに誘った。
なぜだろう。
普通は嫉妬するんだろうけど、
亜紀子ちゃんに対しての嫉妬心は、
全くなかった。
いや、最初は確かにあった。
間違いなく。
でも、雅人の良いところを先に見出して
付き合いだしたのは亜紀子ちゃんなのだ。
嫉妬すれば、自分が情けなくなることも分かってた。
何事も、『順番こ』。
私は2番手なのだ。
割り込みなんてルール違反。
そう思っていた。
ところがその日、
亜紀子ちゃんは私にこう言った。
『雅人のことが好きだし、
雅人も私と付き合ってるって言う。
でも、付き合ってるってのがよく分からなくて。
多分、裏おんなちゃんは、私と雅人が付き合ってると
思ってるんだろうけど、私はそんな感じじゃないんだよね。
付き合うって・・・なんなんだろう。』
彼女が弱音を吐いたのだろうか。
ライバルである私に。
私が聞きたかった。
『亜紀子ちゃんは、突然何を言い出すのだね?』
と。
『実はうまくいってないの』アピール?
私は私の思うように突っ走っていいのか?
ああ、あの時亜紀子ちゃんが私に言いかけたことは、
きっとこれだったんだ。
しかし、私の本心とは裏腹に、
亜紀子ちゃんを励ます私。
こうして、私は
ライバルである亜紀子ちゃんと
中学卒業までの間、
なぜか仲良しになってしまうのであった。
・・・・続く
Comment:6 |
no-trackback | Edit | Page Top.↑
さて、このテンプレは、
クリスマス過ぎても更新しなさそうな
私への喝w
これがあれば、年末にはまた更新することでしょうw
でわ寝るノシ
てか、アダルトブログ×なテンプレ多いんだわw
Comment:19 |
no-trackback | Edit | Page Top.↑
それからすぐのこと。
私は、亜紀子ちゃんに確認した。
『ひとつ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?』
亜紀子ちゃんは、困惑したような顔で私を見上げた。
きっと、雅人のことを聞かれるとでも思ったのだろう。
彼女は、私が雅人のことを好きなことを知っている。
しかし、そんなことは今はどうでもいい。
『中園裕貴って、亜紀子ちゃんのいとこ?』
そう尋ねると、彼女は少しほっとした表情を見せ、
『そうだよ』と言った。
時は流れ、もうすぐ年末。
私は、亜希子ちゃん伝いに
手紙を書いたら迷惑じゃないか確認してもらい、
亜紀子ちゃんに聞いた住所を元に、
裕貴さんに年賀状を書いた。
『コンクールの時はお世話になりました!
うるさくてすみませんでした(笑
お仕事大変でしょうけど、頑張って下さいね!』
その程度だ。
改まってみると、
『かっこいいです』とか『タイプです』なんて、
とてもじゃないけど書けないものだ。
数分しか話してない相手に、
定番の『今年もよろしく』なんて、
それこそ書けないw
第一、私は中学3年生。
裕貴さんは8歳年上。
社会人、しかも公務員から見たら、
ただのクソガキだ。
裕貴さんを好きだという感覚はなかった。
ただ、ある種ミーハーな感覚で、
大人の男性に年賀状を出した。
年賀状を書ける相手が一人増えるだけで
またひとつ大人になれたような気がして
嬉しく感じる年頃だ。
年が明け、3が日をゆうに過ぎた頃、
私宛に一通の年賀状が届いた。
裕貴さんからだった。
飛び上がって喜んだ。
エンピツやボールペンで
『あけおめ
ことよろ
』
なんて書かれているような、
同級生の男子から貰った年賀状にはない、
文面から感じ取れる誠実さ。
整った綺麗な字。
『明けましておめでとう。
本当に年賀状届いたからびっくりしました。
でも、ありがとう。
元気な子だなあとは思ったけど、
意外に律儀な子で、嬉しいよ。
今年は高校受験だと思います。
僕も経験したけど、
自分の力を出し切れるように、
後から後悔することのないように、
頑張って下さい。』
それはコンクールの時には一度も思わなかった感覚だった。
よく考えれば、私が年賀状を書いたから、
裕貴さんも年賀状を送ってくれたのだろう。
至って当たり前の行動なのだ。
たった一度会っただけの私に対し、
文章を考えるのはさぞ苦痛だっただろうw
おそらく、
『そうだ、亜紀子は今年受験だ!』
そう思い出して搾り出した文章だろう。
でも、それは私の中で
彼が大人の男ということを意識して
彼のことを憧れた瞬間でした。
・・・・続く。
Comment:8 |
no-trackback | Edit | Page Top.↑
今から書く出来事は、
雅人に当たって、半端に砕けたすぐ後のことだ。
別に雅人のことを諦めたわけではない。
当時私が所属していた吹奏楽部。
吹奏楽部というと、
コンクールやコンテストなんかに
出る機会というのがあって。
部活動中にかくれんぼしたり、
好きな人の話をして喜んでいたり、
と、部活動を真面目に行っていなかった私だが
当然コンクールなんかの会場に行くことがあった。
(はい、真面目にやっていた方はごめんなさいね。)
で、確かそのコンクールの時だっただろうか。
当時ある芸人さんに嵌っていた私。
私と同じクラリネットパートの子も、
その芸人さんに嵌っていた。
コンクールが終わって、
楽器を学校に運び戻す作業をしていた時。
『この楽器で最後かな?』
突然、知らない男の人が私達に話しかけてきた。
『○○○○(嵌っていた芸人)にちょお似てる!!!!!w』
私達は口を揃えて叫んだ。
彼は戸惑っていた。
そりゃそうだろう。
『この楽器で最後なのか』と聞いているのに、
返ってきた言葉は回答になっていない。
しかも、一般には有名ではない芸人の名前を
あげられたのだ。
挙句、笑われている。
裏達『ちょおタイプなんですけどもw』
芸人『・・・・(苦笑)。で、これで最後かな?』
裏達『ねえねえ、どこの高校ですか!?』(話聞けよ)
芸人『え、一応社会人だけど・・・で、これで最・・・』
裏達『ええ!社会人に見えないよwww』(失礼)
芸人『元気だねえw俺は、これでも一応ここに仕事しにきてるんだよwで、これで』
裏達『ないないwwww』(更に失礼)
芸人『だから本当なんだってばw一応、公務員ですよ、で』
裏達『ええええええええええwwwwwwwww』(極めて失礼)
私達だけで話が盛り上がってしまい、
芸人さんの足止めをしてしまったことにも気づかず、
延々と質問攻めを食らわした。
裏達『ファンレター出すから、住所教えてよwwww』
芸人『仕事中だからさwその辺は君の同級生に聞いてごらんよw』
話を聞くと、どうやら
私のクラスにいとこがいると言う。
『え、誰!?』
すかさず、私は聞いた。
『中園亜紀子(仮名)』
その名前に私は驚いた。
『中園』という苗字のクラスメイトは
彼女しかいない。
いや、全校生徒を探しても、
『中園』は彼女だけだ。
雅人と付き合ってる噂のある亜紀子ちゃんのことだ。
一緒にいた、同じパートの部員が私に言う。
『え!?裏おんなの恋のライバルじゃんwすごい偶然だねw』
・・・・続く
Comment:1 |
no-trackback | Edit | Page Top.↑